ヴェーラ・エルモラーエワ(ヴェーラ・ミハイロヴナ・エルモラーエワ)はロシアの画家でありイラストレーター、装飾家です。
エルモラーエワはヴォルガ地方の地主の家に生まれ、1911年サンクトペテルブルクでフランスの前衛芸術をロシアに紹介したミハイル・ベルンシュテインの下で学び、キュビスムや未来派に興味を持ちました。1914年にはパリに滞在し、ポール・セザンヌやパブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、アンドレ・ドランといった現代の画家たちについて学びました。
1918年ペトログラード(現:サンクトペテルブルグ)に戻った彼女は 芸術家集団「Segodnia (Today)」を設立しました。このグループにはネイサン・アルトマンやユーリ・アンネンコフなどの著名な作家も参加しており、主に短編絵本やポピュラープリントの制作が行われました。子どもの本を芸術的な組織として初めて構築したとして、今日このグループの活動は高く評価されています。彼女自身も、ネオ・プリミティヴィズムと未来派をミックスしたスタイルでナタン・ヴェングロフの「Pétoukh」の挿絵などを手掛けています。
1934年 エルモラーエワは、ゲーテの詩「Reineke Fuchs」の挿絵を押収され「ソ連当局に対する悪意ある反ソビエトの中傷風刺」としNKVD(内務人民委員部)に逮捕され、「反ソビエト思想の宣伝で反ソビエト活動を行い、反ソビエト思想を持つ知識人を中心に組織化しようとした」として、3年間の収容所生活を送ることになりました。そして1937年 再び同じ罪状で死刑判決を受け、処刑されたのです。
2008年 国立ロシア美術館で彼女の初の個展が開催されました。また彼女の作品は イタリア、マントヴァのカーサ・デル・マンテーニャ、オランダのアムステルダム市立美術館、ニューヨーク近代美術館、ニューヨークのグッゲンハイム美術館、バルセロナのジョアン・ミロ財団など様々なギャラリーで、ロシア・アバンギャルドをテーマにした様々なグループ展に出品されています。
現在エルモラーエワの作品は 国立ロシア美術館、国立トレチャコフ美術館、プーシキン美術館、ニューヨーク近代美術館、ケルンのルートヴィヒ美術館などにコレクションされています。