中村萌は1988年東京都生まれの彫刻家です。 2010年に女子美術大学美術学科洋画専攻を卒業、2012年に女子美術大学大学院美術研究科美術専攻修了しました。2014年にTaipei Toy Festival で発表した限定フィギュアを発端に国内外で好評を博しています。

主に楠の丸太から削り出される彼女の作品は　草木や山、動物のような形を纏い　ふっくらと愛らしい人間の顔をして　どこか遠いところに思いを馳せているような目で、佇んでいます。急速に広がる情報化社会に生き、インターネットで容易に多くの見えない他者と繋がりを得ることが出来るようになった私たち。広がる繋がりに反し、見失う自分自身、募る不安や孤独感というようなものについて彼女はこう語っています。

『存在そのものが曖昧な私たちが失ってしまったもの、探している真実は、「私」という個人の外側にあるのではなく、内側にあるのではないだろうか ― 寂しさや孤独を表す言葉のひとつに「心にぽっかり穴があいたような」という表現があるが・・・　
　　　　　　　・・・私は、その闇しかないように思えるもののなかに潜むかすかな光を信じて制作していきたい。』

彼女の生み出す精霊のような作品たちは　遠いどこかを見つめるように、私たちの心の奥深くに潜む光のありかをそっと見つめ照らしてくれているようです。

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