リウ・イエは1964年、中国・北京に生まれ、現在も北京を拠点に活動するアーティストです。幼い頃から絵画に興味を示し、その才能に気づいた父は10歳の頃から5年間にわたり教室に通わせます。劉にとってこの期間は、基本的な芸術技法を習得するための大変有意義な時間となりました。その後1980年に北京芸術工芸学校で西洋近代美術を学び、1994年にベルリン芸術大学で修士課程を修了します。ちょうどこの頃、中国では天安門事件が勃発し、多くの現代美術家たちは芸術を武器として共産主義体制に抗議していましたが、留学中だった劉は自国でその瞬間に立ち会っていなかった事で、画風にその差が表れたと言われています。逆に滞在中のドイツではベルリンの壁が崩壊され、ヨーロッパの変化を目の当たりにし、美術館を巡り西洋モダニズムの巨匠の研究に力を注ぎました。

ピエト・モンドリアンやパウル・クレーなど西洋の抽象芸術家に触発された劉の作品は、遊び心に溢れた想像力で、自身が興味惹かれるものを描写しています。文化大革命の最中に育った同年代の現代美術家の多くが中国の政治や経済の変化を作品に盛り込み描き出す一方、劉は絵画の前に立つ少女を明るいタッチで、またお気に入りのオランダのうさぎのキャラクター ミッフィーを描いて、普遍的な言葉で自分の内面を表現しています。

 

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