山口長男
Takeo Yamaguchi
1902年−1983年
山口長男は1902年、京城府(現在のソウル)出身の洋画家です。19歳で来日し、東京美術学校(現在の東京藝術大学)に入学。1927年卒業と同時に渡仏し3年間滞在します。そこで抽象的な作風のパブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックに影響を受けるとともに、彫刻家のオシップ・ザッキンのアトリエにも足を運び、立体作品の習得にも努めました。
1950年頃までは簡潔なフォルムと描線による空間的描写がメインでしたが、それ以降は合板を用いた暗色の地に赤茶や黄土色の絵の具を幾重にも塗り重ねて作り上げる独自の色面構成のスタイルを確立し、日本の抽象画家のパイオニアとしての地位を築きました。フォービスム的要素が強い山口の絵は、日本のみならず世界的にも名を広め、1950年代後半にはヴェネツィア・ビエンナーレやグッゲンハイム国際美術展など主要な国際展へも出品します。西欧の知的な画面構成とは異なり、プリミティヴかつ堅牢で動感に満ちたフォルムは、国際的にも高い評価を集めました。1961年には芸術選奨文部大臣賞を受賞し、武蔵野美術学園の学園長としても活躍しました。現在でも国内外で人気の高い作家です。