
河井美咲は、1978年香川生まれ。大阪で育ち、京都芸術短期大学卒。
河井の作風は大胆でシンプル、そしてカラフル。一見すると子どもが描いたのかと思うような乱雑さだが、アートの目利きからするとそれこそがオリジナリティー。インパクトのある独特の作風は広く下手うまと評されている。MoMAやボストン現代美術館、マルメ美術館、チルドレンズ美術館などで個展を開催。
京都に拠点を持ちつつ大半は海外での旅暮らし。アメリカ、デンマーク、ポルトガル、韓国、様々な国のギャラリーから招かれ、その地に数カ月単位で滞在しながらアートを生み出すスタイルを貫いている。
アメリカ人の夫と娘も同行。朝起きて、料理をして、歯を磨いて、絵を描く。子供と遊んで、また絵を描く。河井にとってアートは日常生活の一部となっている。制作の様子もまさに自由奔放で、一見乱雑なほどダイナミックに絵の具を塗りたくっていく。「子供の落書きが理想、もっともっと下手になりたい!」と河井は言う。
ひとたび目にするとその色遣いがいつまでも記憶に残るような、シンプルでいて強いインパクトのある河井の絵や立体作品は、見る人を楽しい気持ちにさせ、子どものように純真なワクワク感を呼び起こしてくれる。
そんな作品を生み出す河井の原点には、母の存在がある。舞台美術や人形劇の活動に取り組んでいた母の手作りの物や人形に囲まれて育ち、物心ついたときからジャンルを問わず、「作る」ことが大好きだったという。河井はこんな風に語っている。
自分が作ったものを見て、周りの誰かが喜んでくれるということがすごくうれしくて、高校卒業後の進路は迷わず美術系の学校へ。当時の「このままずっと楽しく作り続けていきたい」という思いが今も続いている感じです。実際に日常の中で「おもしろいやん!」と思ったものを掘り下げていったら作品になった、ということも多いですね。
その軸は変わらず、芸術短大卒業後もアートの道で生きていきたいと決意。トルコやネパール、タイなどの海外へも何度か旅をし、カラフルで力強い、民族的な色遣いに刺激を受けた。
その後、語学力が特にないまま、ニューヨークにも滞在し、路上販売からスタートしサバイバル。
あるとき著名な彫刻家キキ・スミスの目にとまり「あなた、面白いことしているわね」と100ドル分も作品をまとめて買い上げ、そうした出会いを通じて、彼女の作品の魅力は、他のアーティストやアートディーラーの間に広まり、ニューヨークでの本格的な活動のきっかけとなった。
そうして世界的な人気作家となった河井は、フライング・タイガーやイケアなど北欧発の世界的な人気ブランドとのコラボも手がけている。
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https://misakikawai.com/