買いたい・探したい

ARTIST/ART

菅井汲
Kumi Sugai
1919年−1996年

菅井汲は1919年に兵庫県神戸市に生まれた洋画家・版画家です。小学生の頃から芸術に親しみ、大阪美術学校で学んだ後阪急電鉄でポスター画家として活躍しました。戦争を経て中村貞以に弟子入りして1年ほど日本画を、吉原治郎のもとで油彩を学びますが、菅井の絵は日本の洋画界ではほとんど評価されず渡仏を決意します。パリではグランド・ショミエール芸術学校で抽象表現主義やミニマリズム、ポップアートなどの現代洋画を吸収していきました。

日本画を学んだ経験のある菅井は、当初伝統的な浮世絵の技法と前衛芸術の影響を取り入れた鮮やかな色彩の版画を制作していましたが、1960年代には太い線画や幾何学的な要素を含んだ絵画や版画へと移行し、色調も複雑で繊細なものから単色使いへと変化していきました。その後は大きな文字や塊を含んだ作品を制作し、中でも「S」は代表的なモチーフとして繰り返し登場しています。Sは菅井のSであるとともに、スピード狂であった菅井が愛車のポルシェでよく走っていた高速道路のカーブも意味しています。アンフォルメルの影響を受けながら日本の書道をも彷彿とさせるその筆致は、伝統的な美学と技術を組み合わせることで作品のダイナミズムが生まれ、国際的に高い評価を得ています。

一覧ページに戻る
お問い合わせ 資料請求