金子潤
Jun Kaneko
1942年−
1942年、名古屋に生まれた金子潤は、現代美術・現代陶芸において国内外で高く評価される芸術家です。青年期に小川智のもとで絵画を学び、画家を志して1963年に渡米。シュイナード美術研究所で学びます。この頃のアメリカン・アートといえばポップアート、ハプニング、ボディーアートなど、新しく実験的な手法が台頭する時代でしたが、金子が降り立ったカリフォルニアは前衛陶芸が開花した頃でした。それまで平面の世界にいた金子は、自由自在に形成できる土に無限の可能性を見出し、ピーター・ヴォーコスやジェリー・ロスマンらに師事し現代陶芸運動と呼ばれる時代を迎えます。1964年に全米陶芸展で入選を果たし脚光を浴びてからは多くの展覧会に出品するようになり、1984年にはボストン美術館で開催された「アメリカ現代陶芸の動向」展で、アメリカを代表する15人の陶芸家に選ばれました。
1986年からはオマハに構えたスタジオを拠点に、大規模な作品を制作しています。代表作のひとつである「だんご」シリーズは、開口部のない花瓶を模した巨大な作品で、立体面に透明感のある釉彩で描かれたスパイラルやドット、スプラッシュペインティングの様に釉薬が飛び散った表面はサム・フランシスなどの抽象画を思わせるところがあります。そのずんぐりとしたフォルムに金子の内面性が現れているところが魅力的であり、温かみのあるカーブには親近感を抱くとともに湧き出る情熱と揺るぎない信念すら感じさせるものとなっています。2000年代に入ってからは現代劇の舞台や衣装のデザインを手掛けるなど、活躍の場を広げています。
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http://www.junkaneko.com/