鎌谷徹太郎
Tetsutaro Kamatani
1979年―


鎌谷徹太郎は1979年生まれ大阪府出身の現代美術家です。
2003年から現代美術家として東京を拠点に活動。ニューヨーク、シンガポール、香港、台湾など世界各国で作品を発表し、数々の国際アートフェアや個展で注目を集めています。
鎌谷は、絵画を中心に立体作品やインスタレーションなど多様なメディアを駆使し、独自の世界観を展開。彼の絵画は、鮮やかな色彩と装飾性を特徴とし、超人類やバイオテクノロジー、環境問題、人工的な美、ユートピア思想、さらには精神的な風景にまで及ぶ多層的なテーマを大胆に描き出しています。
その根底には、「もののあわれ」や「侘び寂び」といった日本的な精神性とともに、「生と死」「自然と人」「美と醜」といった西洋的な二項対立を超え、すべてを並列に捉える“不二”の美意識が貫かれています。分類やヒエラルキーに依らず、対立する価値を同じ地平で共存させる視座は、彼の作品世界に深みと哲学的な奥行きを与えています。
鎌谷の近年の作品では、伝統的な日本の色彩や工芸技法を取り入れながら、デジタルと手作業を融合させ、絵画における「表層の美」をより装飾的に再構築しています。花や鳥といった自然のモチーフ、雑誌やウェブから得た断片的なイメージなどを組み合わせ、日本的な平面性「スーパーフラット」を想起させるスタイルで、東洋と西洋、過去と現在、具象と抽象が交錯する視覚的なレイヤーを織り成します。
「芸術における『美』とは何か?」という根源的な問いを軸に、鎌谷の作品は鑑賞者一人ひとりの中にある物語や感覚へと開かれており、観る者の感性を深く揺さぶります。