イ・ファンクォンは1974年、韓国・ソウルに生まれ、キョンウォン大学で環境芸術を学んだ美術家です。実生活と幻想の世界の間に存在するかのような歪んだ彫刻を得意とし、見るものを異次元の世界へと導いてきました。凹面鏡に写った画像とも異なり、アナモフィックでもない。さらには昔の映画のように画面の中で上下に伸びた画像とも似て非なるファンクォンの彫刻作品は、2次元軸では理解することのできない実に複雑なものなのです。見慣れたものや人物が初めて見るもののように感じられ、既存の知覚を調整しなおさければならないというような、空間と時間の中で視覚的な体験を引き起こすのです。デジタル処理で引き伸ばしたり平たくしたりした何千枚もの写真は、アルベルト・ジャコメッティと同様に、フォルムと空間の関連性を異なる視点から解釈するという現代的な解決策を呈しているのかもしれません。

環境彫刻の教育を受けたファンクォンの作品は、既存の環境に対する配慮と同時に人間と土地、自然と人工物、幻想と現実の間の新な相互関係の発見を強調しています。ファンクォンはこれまでにアジアを中心に多くの個展を開催し、韓国国内では複数の受賞歴があります。

 

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