ジョルジュ・マンザナ=ピサロは 田園風景の描写などで知られるフランスのポスト印象派の画家です。あたたかく素朴な雰囲気の風景画や肖像画で知られるデンマーク生まれの印象派の画家カミーユ・ピサロの第三子として1871年にフランスのルーヴシエンヌに生まれました。兄のリュシアン・ピサロと共に父の下で絵を描き、筆の扱いだけでなく 自然を観察し愛でることを学びながら、父の友人であるクロード・モネやポール・セザンヌ、ピエール=オーギュスト・ルノワールらに囲まれて成長しました。
初期には父から受け継いだ印象派のスタイルで風景画を描いていましたが、1906年頃からは装飾品や家具のデザインなど、他の表現方法を模索し始めました。ポール・ゴーギャンの描いたエキゾチックな風景画の影響を受け、金や銀、銅の絵の具を使った実験的な作品などを制作し、オリエンタリズムを発展させました。サロン・ドートンヌやアンデパンダン展、パリのギャラリー、デュラン・リュエルやドリュエなどで定期的にポスト印象派の作品を発表し、1907年にはヴォラールで初めて装飾作品を発表しました。その後1914年にパリ装飾美術館で カーペットやタペストリー、家具、ガラス製品や版画など300点以上の作品を展示した展覧会が開催され、彼のキャリアにおいて最も重要なものとなりました。マンザナ=ピサロは1930年代後半まで定期的に作品を発表し続け、1939年のイギリス・フランスの対独宣戦布告を機に 家族と共にモロッコのカサブランカに移り住み、1974年まで滞在しました。
晩年には同じく優れた芸術家となった末息子と共にマントンで過ごし、ポスト印象派の原点に立ち返って地元の風景を描き続け、1961年に亡くなりました。
現在彼の作品は、ワシントンDCのナショナルギャラリー、サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館、ブルックリン美術館などに収蔵されています。