E・C・シーガーは漫画『ポパイ』の作者として知られるアメリカの漫画家です。
シーガーは1894年にミシシッピ川沿いの小さな町チェスターで生まれ育ちました。便利屋をしていた父の手伝いで、家のペンキ塗りや壁紙貼りなどをしたのが彼の最初の仕事でした。ドラムが得意だった彼は、地元の劇場で映画や演芸の伴奏を担当し、やがて映写技師の仕事を任されるようになりました。そして18歳の時に漫画家になることを決意しました。シーガーは仕事が終わった後に、明け方まで通信講座で漫画の勉強に励んだといいます。
後にシカゴに移ったシーガーは『The Yellow Kid(イエロー・キッド)』や『Buster Brown(バスター・ブラウン)』の生みの親であるリチャード・フェルトン・アウトコールトと出会い、シカゴ・ヘラルド紙に紹介され 最初のコミック『Charlie Chaplin’s Comedy Capers』を掲載し、一年余りにわたって連載されました。その後1918年にはハースト社の『シカゴ・イブニング・アメリカン』に移籍し『Looping the Loop』を創刊しました。ハースト社の編集長ウィリアム・カーリーは、シーガーはニューヨークで成功する可能性があると考え、彼をキング・フィーチャーズ・シンジケート社に送り、シーガーはそこで長年働くことになりました。
彼は1919年にニューヨーク・ジャーナル紙に『Thimble Theatre(シンブル・シアター)』を描きました。オリーブ・オイル、カスター・オイル、ハム・グレイヴィというキャラクターの登場するこの漫画に、10年後の1929年に登場したポパイという水夫が、脇役から次第に主役となってゆき、永久保存版のキャラクターとなったのです。
長い闘病生活の後、セガーは43歳で白血病と肝臓病により亡くなりました。
全米漫画家協会は彼に敬意を表し、「漫画界において独特かつ顕著な貢献を行った人物に贈られる」賞としてエルジー・シーガー賞を創設しました。漫画『ピーナッツ』の生みの親であるチャールズ・M・シュルツも1980年に、この賞を受賞しています。