J・J・グランヴィル
J.J. Grandville
1803年−1847年
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J・J・グランヴィルは1803年、フランス・ナンシーに生まれた諷刺画家です。画家である父から絵の手ほどきを受けて育ち、1825年、21歳でパリへ出てイラストレーターとして活動を開始します。1827年にリトグラフの風刺画シリーズ「パリのブルジョアの日曜日」を出版して注目を集め、翌年には「当世風変身譚」を出版します。胴体が人間で、首から上を性格により様々な動物にたとえて描いたこの作品集は、人相見が流行っていた当時のパリで大人気となり、さらなる名声を得ました。その後は諷刺新聞「カリカチュール」で、政治や世相を揶揄する作品を次々と発表します。
「カリカチュール」休刊以後は、「ガリバー旅行記」や「ロビンソン・クルーソーの冒険」などの挿絵を描き、木口木版を主体とする挿絵本が活動の場となりました。晩年は作品集「花の幻想」や、没後に出版された「星々」など、女性を花や星に見立てた美しく幻想的な世界を描くようになります。相次ぐ家族の不幸に心を病み、44歳の若さでこの世を去ったグランヴィルですが、残した作品は実に多彩で、「不思議の国のアリス」作者のルイス・キャロルやエミール・ガレなど、多くのアーティストたちにも多大な影響を与えています。