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ARTIST/ART

アイリーン・グレイ
Eileen Gray
1878年―1976年

アイリーン・グレイはモダンな家具デザインと建築の先駆けとして知られるデザイナーであり建築家です。デ・ステイル (De Stijl) の抽象画などに影響を受け、ガラスやスチール、ラッカー、木などを使ってユニークなテーブルや椅子をデザインしました。

「近代建築の貧しさは、官能の萎縮に起因する」と、かつて彼女は語りました。

1878年アイルランドのエニスコーシーで生まれた彼女は 幼少期をロンドンで過ごし、ロンドンのスレード美術学校に入学した最初の女性の一人となりました。1989年に絵画を始めた後 ロンドンで漆器修理を営む店で働き、その後フランスで日本の工芸家、菅原精造から漆工芸を学びました。この経験は後の彼女の仕事に大きな影響を与えました。漆の仕事とキャビネット作りのさらなる修行の後、彼女は漆のスクリーンと装飾の主要なデザイナーの一人として地位を確立しました。彼女の初期の作品はアール・デコ様式ともいえますが、次第にシンプルでミニマルなスタイルに移行してゆきます。1922年には自身のギャラリー兼ショップ「ジャン・デゼール(JeanDésert)」をオープンし、1930年まで経営しました。

南フランスの海岸に立つ彼女の別荘「E-1027」は、彼女自身が手掛けたものであるにもかかわらず長年ル・コルビュジエの設計とされてきました。その背景にある確執や隠されたドラマを描いた映画『The Price of Desire(邦題:ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ)』が 2016年に公開され世界的に話題となりました。近代建築の巨匠と呼ばれるル・コルビュジエが その生涯で唯一羨んだとされる才能の持ち主が、アイリーン・グレイだったのです。

彼女は1972年に 英国王立芸術協会からロイヤル・デザイナー・フォー・インダストリーに任命されています。1976年に98歳で亡くなるまで、彼女は現役デザイナーとして活躍しました。

解放的で柔軟なデザイン、細部にわたり魅力的な建築である「E-1027」は 2007年からの修復作業を経て、2016年から一般公開されるようになりました。2013年にはパリのポンピドゥー・センターで彼女の個展が開催され、2020年にはアメリカのバード・グラデュエイト・センターで、彼女の作品を考察する40年ぶりの大規模な展覧会『Eileen Gray: Creating a Total Work of Art』が開催されました。現在彼女の作品はニューヨークのメトロポリタン美術館、ニューヨーク近代美術館、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館、リッチモンドのヴァージニア美術館などにコレクションされています。

▼公式サイトはこちらから
http://www.eileengray.co.uk/

 

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