アルベルト・ウールン
Albert Oehlen
1954年−
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アルベルト・ウールンは、1954年にドイツ・クレーフェルトに生まれた現代美術家で、現在はスイスのビューラーとスペインのセゴビアを拠点に活動しています。ハンブルク芸術大学に学び、卒業後程なくベルリンやケルンのアートシーンで一躍脚光を浴たウールンは、マルティン・キッペンベルガーやヴェルナー・ビュットナーらと前衛的なグループを結成し、カテゴライズされることに反発した作品を制作。芸術界の現状に反論していきます。
1980年代の新表現主義に呼応して制作された抽象と具象を組み合わせた作品から、彩色された四角のグリッドで構成された絵画まで、ウールンが数十年に渡って追求し続けてきた路線は、そのバリエーションを大きく広げてきました。その結果、過剰と耽溺の美学が徹底的かつ巧妙に絵画に染み込み、説得力を持って「崩壊」を表現するに至っています。見苦しいとも言える色の組み合わせや不可解で中途半端な形、そして装飾的なタッチを用いて描かれた作品は、一見するとカラフルなゴミの塊のようでもあります。このようにしてウールンは、絵画によって可能になった形の無限の組み合わせを証明し、その組み合わせが画家の意思によって操作され、観るものに新たな知覚的課題を生み出すことを示しています。