ウェイン・ティーボー
Wayne Thiebaud
1920年−
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1920年アメリカ生まれのウェイン・ティーボーは、日常にありふれたものをカラフルに描くことで知られる画家です。50年代〜60年代に描かれた初期の作品のモチーフは、アメリカのダイナーやカフェで見かけるケーキやパイ、あるいはリップスティックなどのライン生産商品で、そのコンセプトと色使いが似ていることからポップ・アートと一括りにされがちですが、この頃はまだポップ・アート運動以前であり、逆にそれに影響を与えた可能性があると言われています。
平面的なポップ・アートの作品とは対照的に、ティーボーの作品は絵の具が塗り重ねられて立体感があり、ブラッシュストロークもはっきり見ることができます。そしてケーキに乗ったクリームは指ですくって舐められそうなほどリアリティがあるものです。またどれもはっきりとした影が描かれているのも特徴のひとつです。2019年にはオランダでヨーロッパ初の個展が開かれるなど、98歳となった今もなお精力的に制作を続けています。作品は在住するサンフランシスコの美術館を中心に所蔵されています。