エドワード・マイブリッジ
Eadweard Muybridge
1830年−1904年
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エドワード・マイブリッジは1830年にイギリスのロンドン南部で生まれた写真家です。アメリカでのゴールドラッシュの噂がイギリスにも広まり、何かが起こりそうな場所に身を置いてみたかったからか1851年に単身渡米します。最初に腰を落ち着けたニューヨークでダゲレオタイプ(銀盤写真)に出会い、これをきっかけに写真の世界へと歩みを進めます。サンフランシスコへ移住するとアメリカ南部戦争の終結後変化を続けるその街並みやヨセミテ渓谷などを撮影し、また企業や政府の依頼を受けて各国へ撮影に出かけるなど次第に売れっ子写真家となっていきました。
そんなマイブリッジのもとに1873年、スタンフォード大学創始者でカリフォルニア州知事のリーランド・スタンフォードから奇妙な依頼が舞い込みます。「ギャロップする馬の脚運びについて、4本すべての脚が地面から離れる瞬間があるのかどうか確かめたいので、その瞬間を撮影して欲しい」と言うものでした。動いているものの鮮明な撮影とあって当初はぼんやりとした姿しか撮影できませんでしたが、後に写真感度向上のための化学研究を行い、1878年にはカメラを12台並べて、疾走する馬の連続撮影を成功させました。結果「前脚は前方に、後脚は後方にそれぞれ伸ばして走る」と言われていたのが事実と異なっていることを写真で証明し、大きな反響を呼びました。その成功の後撮影対象を馬だけでなく動物や人間の身体へと広げ、1887年に世界で初めての動物の連続分解写真集「動物の運動」を刊行します。この写真集は781点、11巻からなる彼の集大成となりました。