エリザベス・キャトレットは、1915年にワシントンD.C.に生まれたアフリカ系アメリカ人の芸術家です。元奴隷の孫娘であり、黒人女性が芸術家としてのキャリアを築くこと、それ以前に普通に大学へ進学することすら非常に困難な時代に、人種やフェミニズムに関するテーマを探求し、彫刻、絵画、版画などで黒人の闘争を浮き彫りに表現してきました。アフリカやメキシコの伝統的な芸術の影響を受けたモダニズムの伝統の中で、抽象と具象が混在するキャトレットの作品は、純粋な美学よりも20世紀を生きてきた黒人女性の思いを伝えることを目的とし、たくさんの人々から共感を得ています。
1946年に「Taller de Gráfica Popular」というワークショップで働くためにメキシコに移り住んだキャトレットは、その活動精神に影響を受け、アフリカ系アメリカ人女性の苦難や、黒人女性の活動家の偉業を描いた作品を制作するようになります。代表作のひとつである「Sharecropper(小作人)」もこのころに描かれ、他の作品同様大きな逆境に直面しても尊厳を保つ事が出来ると信じていたアフリカ系アメリカ人女性のためにキャトレットが行なった活動を表現しています。また写実的で高度に様式化された二次元、三次元の人物像の被写体は、優しい母性のイメージから、ブラックパワー運動の対立的なシンボル、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアや作家フィリス・ウィートリーの肖像画まで多岐にわたっています。キャトレットの作品は、人種、ジェンダー、階級の問題を描きたいと考えている美大生の間で、現在でも盛んに研究されています。
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https://www.elizabethcatlettart.com/