オリヴィエ・モセ
Olivier Mosset
1944年−
オリヴィエ・モセは1944年、スイス・ベルンに生まれたビジュアル・アーティストです。1960年代は主にパリで過ごし、ダニエル・ビュラン、ミシェル・パルマンティエ、ニーレ・トローニらと共にミニマリスト集団『BMPT』のメンバーとして活躍していました。BMPTは画布に描くストライプや円形など、反復的なパターンによって客観性を持つ文化的コードを生み出しましたが、その中でモセが1966年から1974年にかけて制作した、正方形の白いキャンバスの中央に小さな黒い円を描いた200点以上の同じ油彩画は、BMPTの実験的な絵画アプローチの頂点とされています。
新表現主義の全盛期である1970年代後半には、ニューヨークで『ニューヨーク・ラディカル・ペインティンググループ』の創設メンバーとして活躍。モノクロームの絵画シリーズを長期にわたって制作しました。この『ラディカル』とは社会的に急進的な姿勢を意味するとともに、絵画の急進的な根源への回帰も意味するものです。1993年からはスイスの対戦車砲撃をモチーフにした彫刻作品「トブラローネ」を制作していますが、この作品は氷でも作られ、2004年にはスイスのアート・バーゼルで発表されました。2012年からはパリ・オペラ座バレエ団の舞台美術も手がけており、その多才さを伺わせます。