カッサンドル
Cassandre
1901年−1968年
カッサンドルは1901年、ウクライナのハリコフでフランス人の両親のもとに生まれた、20世紀最大とされるグラフィックデザイナーです。画家を目指してエコール・デ・ボザールとアカデミー・ジュリアンで絵画を学び、卒業後売れるまでの食い扶持程度にとアルバイト感覚で引き受けていたグラフィックデザインが好評を得、徐々にそちらに熱中していくようになりました。はじめから「絵画はそれ自身で目的になるが、グラフィックデザインは単なるコミュニケーションに過ぎない」と割り切って仕事をしていたのですが、その「割り切り」が新鮮かつ均衡の取れたデザインを生み出しやようです。
その名を広めることとなったのは、1923年に制作した家具店「オ・ビュシュロン」の広告でした。木を切る場面をダイナミックに描いたV字構造のポスターは、当時パリの街中に貼られ、1925年に現代装飾美術・産業美術国際博覧会でグランプリを受賞したのです。その後は鉄道や船のポスターや、食前酒のポスターなどを手掛けてポスターデザイナーとしての頂点に立ち、1936年には渡米してMoMAで個展を開催したり、ハーパーズ・バザーの表紙デザインを任されたりと活動の幅を広げていきました。
幾何学と曲線によるアール・デコ様式やバウハウスの合理主義的、機能主義的なデザイン思想に大きな影響を受けたカッサンドルの作品は、現在でも鮮烈なインパクトを放ち、様々な形で後世に引き継がれています。馴染み深いものとしてイヴ・サンローランのロゴや、沢木耕太郎の著書「深夜特急」の表紙に使われた「ノール・エクスプレス」があります。
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https://www.cassandre-france.com/