ギュスターヴ・クールベ
Gustave Courbet
1819年−1877年
1819年、フランスに生まれたギュスターヴ・クールベは、フランス・レアリスムを代表する画家で、近代絵画における写実主義の成立に大きな役割を果たした人物です。代表作のひとつである「オルナンの埋葬」は、1848年にクルーベが参列した叔父の壮大な葬儀を描いた大型作品で、この主題を広大なキャンバスに描いたことで批評家と一般市民両方から賞賛と非難の両方を浴びました。1855年にはこの作品をパリ万国博覧会へ出品したものの展示を拒否されます。それに不満を抱いたクルーベは、万博会場のすぐ隣に小屋を建て、「ギュスターヴ・クルーベ作品展」の看板を掲げ、写実主義者としての地位を確立するために作品を公開しました。当時自分の作品だけを並べた個展を開催する習慣はなく、この作品展が世界初の「個展」だと言われています。
ごくありふれた日常生活の中に題材を求め、実際に見たものだけを見たままに描き、宗教的な主題や前世代のロマン主義的幻想絵画を否定するという伝統的芸術からの自立は、印象派やキュビスムなどのちの近代美術家に大きな影響を与えました。クルーベの妥協を許さない率直な芸術活動とその意志の強さが新たな画法を確立させ、型にはまった伝統形式に抵抗し、美術史を変えることとなったのです。