クロード・ワイズバッシュ
Claude Weisbuch
1927年−2014年
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クロード・ワイズバッシュは1927年、フランスのティオンヴィルに生まれた画家です。白と黒を基調としながらも、数少ない地色を用いて線の太さやトーンで動きや形を強調した作品で知られるワイズバッシュは、ナンシーの美術学校に学んだ後、彫刻を教える傍ら作画を続け、1957年に絵画、ドローイング、版画などを展示した初の個展を開催し大成功を収めます。この個展はアメリカや日本でも開催され、これを機に国際的に名声を得ることになります。
ヴィヴァルディやモーツァルトなどを愛し、演劇と音楽をテーマにした作品を多く発表するワイズバッシュは、それが情熱的なヴァイオリニストであれ敏活な俳優であれ、すべて戯曲への愛情を持って、大胆な筆致と流れるような絵の具の配置で表現されています。模倣を超越するために絵を描き、被写体の生のエネルギーを感じてもらうために作品を未完成のままにしておくことで見事に観るものの感情を揺さぶることができているのですが、そのために素晴らしい匠の技を見落としてしまいがちです。真の巨匠とは動きを繰るものであるということをふっと思い出すことで、ワイズバッハの芸術をより豊かに鑑賞することができるかもしれません。