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ARTIST/ART

ジェームス・リー・バイヤース
James Lee Byars
1932年―1997年

ジェームス・リー・バイヤースは 同世代アーティストの中でも最も特異で謎めいたコンセプチュアル・アーティストの一人です。彼はパフォーマンスや彫刻、インスタレーションを用いて、記憶や不在、謎といったテーマを探求しました。

バイヤースはウェイン州立大学で美術や心理学、哲学を学び、その後 画家のモリス・グレイブスの招きで日本を訪れ、1950年代後半から60年代後半にかけて 京都とニューヨークを行き来し、能楽や禅、神道などを学びました。1958年にアメリカに戻ったバイヤースはマーク・ロスコに会うためニューヨークに向かい、近代美術館に辿り着きます。そこでバイヤースはアポイント無しに訪れたにもかかわらず近代美術館の学芸員を説得し、美術館の階段の吹き抜けで1回限りの展覧会を開催することを許可されました。これが彼にとって初めての美術館での展覧会とされています。

1969年バイヤースは「The World Question Center」というパフォーマンスを行い、100人の知識人の質問に答え、その議論をベルギーのテレビで生中継しました。1971年の作品「The Black Book」では、黒い紙にありえないほど小さな金色の文字で100の質問を印刷しました。バイヤースは答えよりも質問に興味を抱いており、質問は答えよりも重要であると考えていました。
1972年にはドクメンタ5のオープニングでフリーデリチアヌムの屋根の上で金色のメガホンを使ってドイツ語の名前を叫ぶパフォーマンスを行い ヨーロッパでの評価を高め、1975年にはルーヴル美術館で「The Perfect Kiss」という画期的なパフォーマンスを行いました。亡くなる3年前の1994年には、金色のスーツを着て箔で覆われた部屋に静かに横たわり、背景に消えていくかのように自らの死を実践した『The Death of James Lee Byars(ジェームス・リー・バイヤースの死)』というパフォーマンスを行いました。

このように不思議で超越的なクオリティは彼の作品群に浸透しており、現代の偉大なコンセプチュアル・アーティストの一人として確固たる地位を築いたのです。バイヤースは約40年のキャリアの中で幅広い展示とパフォーマンスを続け、エジプトのカイロで亡くなりました。彼の死後も様々な国際的機関が このアーティストのための回顧展を開催しており、彼の作品は生前と同じように多くの人々にインスピレーションを与え疑問を投げかけています。近年ではニューヨークのMoMA PS1が2014年に開催した「James Lee Byars: ½ an Autobiography」展で包括的彼の作品を紹介し話題となりました。

 

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