ジャン・エリオン
Jean Hélion
1904年−1987年
ジャン・エリオンは、1904年にフランスのクーテルヌに生まれた画家です。詩と科学の好きな青年だったエリオンは薬剤師の助手として働き、科学の研究にも参加していましたが、1921年にコース終了前にパリに移ります。パリでは建築家の助手として働き、頻繁にルーヴル美術館に足を運ぶ機会を得ます。そこでニコラ・プッサンとフィリップ・ド・シャンペーンの作品に出会ったことがきっかけで画家を志す事を決意し、建築から絵画へと方向転換します。
初期にはピエト・モンドリアンの直線から成るコンポジションに影響を受けて抽象画を描いていましたが、エリオンのスタイルは独自の変化を遂げ、幾何学的抽象でありながら有機的な曲線なども含む、具象的な要素も維持した作品となっていきました。その間抽象芸術運動を代表する芸術家集団「アブストラクシオン・クレアシオン」の中心人物としても活躍していましたが、1930年代終盤には抽象画を離れ、新古典主義やフェルナン・レジェの作品を想起させる絵画へと移行し、第二次大戦後には写実的な作風の作品を制作しました。