ニック・ブラントは1964年にイギリス・ロンドンで生まれた写真家です。セント・マーチンズ芸術大学で絵画と映画学を学んだ後アメリカに移り、映像作家としてマイケル・ジャクソン、XTCなど数々の著名アーティストのミュージックビデオを手がけるなど、華やかな世界に身をおいていました。そんな中1995年、マイケル・ジャクソンのビデオ「Earth Song」の撮影で訪れたタンザニアで、現地の動物と東アフリカの母なる大地にすっかり魅了されてしまいますが、その動物たちに対する感情や愛情を映像で表現することに難しさを覚えます。後に「これまで誰もやったことのない自分なりの方法で表現するのに最適なのは写真だ」と感じ、写真家に転向します。
2000年、象やライオンをはじめその地に生きる動物たちをカメラに収めるため再びアフリカを訪れると、その地が破壊されつつあることに気付きます。それからというもの、壮大な白黒写真やセピア色の写真で大型動物の威厳や失われつつある自然を捉え、芸術と環境保護を融合させた活動を行っています。2014年、初期の頃に東アフリカで撮影された動物の未発表写真を原寸大でプリントし、それをケニアに持ち込んで大きなパネルに貼り付けました。そのパネルを急激な都市開発が進んでガラリと様子が変わってしまった市街地や荒廃した土地に設置し撮影するというプロジェクト「Inherit the dust」を行いました。当然のことながらかつてはその地を闊歩していた動物たちも、もはや動くことはありません。開発とともに生息地が狭められ、個体数も激減してしまった動物たちの現状、そして今地球上で起こっていることを人々に理解してもらうため、ブラントは日々活動に取り組んでいます。
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