パトリック・コールフィールド
Patrick Caulfield
1936年−2005年
パトリック・コールフィールドは1936年、イギリス・ロンドンに生まれた画家であり版画家です。1956~60年にチェルシー美術学校で学び、在学中に2つの賞を受賞。その際に得た賞金で、卒業時にギリシャとクレタ島への旅に出ました。旅先で目にしたミノア文明のフレスコ画やクレタ島の明るく強い色彩は、コールフィールドのその後の画家人生に大きな影響を与えるものとなりました。1960年、王立美術学校に入学し、デイヴィッド・ホックニー やアレン・ジョーンズらとともに同時代を過ごしました。そしてその頃、イギリスのポップアーティストが台頭する中、コールフィールドもアーティストとして登場したのです。平坦な作者不明の商業用広告看板に興味を持ち、筆致の痕跡を消してそれを自身の作品に取り入れ、その手法は同時に進めていたスクリーンプリントの実践にも影響を与えました。
大胆なイメージを抽象的なグラフィック・スタイルで表現することで知られるコールフィールドの作品は、平面的で漫画のような黒い輪郭線が特徴的で、それは現実と幻想の間に存在する心地の悪い曖昧さを醸し出しています。大胆なキャンバスの中に縮小された場面にはフォトリアリズムの要素が取り入れられ、一見コラージュのようにも見えるトリッキーな視覚的な面白さをも秘めており、ここにコールフィールドの確固たる独自性を感じることができます。1987年にはターナー賞にノミネートされ、1996年にはCBE(大英帝国勲章)を授与されるなど、その活躍は広く国内で認められるとともに、ゲイリー・ヒュームやジュリアン・オピーら、後続のイギリス人アーティストにも影響を与えています。