ピーター・ドイグは今日世界で最も重要な画家の一人と言われています。1959年スコットランド、エディンバラに生まれ、1962年父親の仕事のためトリニダードに移り、その後カナダに移住しました。1979年にロンドンに移りウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツで学び、1990年チェルシー・カレッジ・オブ・アーツで修士号を取得しました。2000年には、友人でありアーティストのクリス・オフィリに招かれトリニダードのアーティスト・イン・レジデンスに参加しました。現在はトリニダードを拠点に活躍しています。
深く独特の鮮やかさをもった色彩で描かれるドイグの作品は、浮かんでは消えてしまう幽かな記憶の中の風景や、鏡の向こうの不確かで見知らぬ世界のようで私たちを困惑させると同時に、想像への旅へ誘います。
1994年には『ターナー賞』にノミネート、そのほか様々な賞を受賞、そして2008年にはロンドンのテート・ブリテン、パリ市⽴近代美術館、2013年にはスコットランド国⽴美術館、2014年にはバーゼルのバイエラー財団、2019年にはウィーンの分離派会館、世界の主要な美術館で個展を開催、またコレクション所蔵されています。
2007年ロンドン、サザビーズで『WHITE CANOE(1991年)』が1,130万ドル(当時約13憶円)で落札され現存するヨーロッパのアーティストの作品の記録となりました。2009年にはロンドン、クリスティーズで『Night Playground(1997-1998年)』が500万ドル(約5憶5千万円)で、2013年初頭には『The Architect’s Home in the Ravine(1991年)』が766万ポンド(約11憶円)でオークションにかけられました。2015年には『Gasthof zur Muldentalsperre』がクリスティーズで 25,950,000ドル(約30憶円)で落札され、雪の降るトロントのローズデールを描いたキャンバス『Rosedale(1991年)』はフィリップスにて2880万ドル(約32億円)で落札されました。
このように、彼の作品はアート市場でも高く評価され人気を博し、非常に高い価格で定期的に販売されています。そんな世界の注目を集め続ける画家ピーター・ドイグの初期作から最新作まで約70点が出品される日本初の個展となる『ピーター・ドイグ展』が、2020年2月26日〜6月14日の日程で東京国立近代美術館で開催されます。