フィル・フロストは、1973年にニューヨークのジェームズタウンで生まれたアーティストです。1990年代初頭、ニューヨークの路上で披露したインスタレーションで知られるようになり、以降生々しいストリートの鋭さと絵画的な美学を融合させた作品を制作しています。あらかじめ入念に場所を調査、測定して実現の可能性を分析し、スタジオで丹念に制作された多数のパネルで構成された作品は、通常、暗闇の中でストリートの目的物に貼り付けられます。その作品の数々は1994年にPBS(アメリカの公共放送サービス)の「シティ・アーツ」という番組で、フロストを特集するに至り、大きな影響を与えました。その後ギャラリー界へと転身し、グループ展への出品を経て1999年にニューヨークで初の個展開催に至ります。フロストの作品はファウンド・オブジェ、キャンバス、ミクストメディアなど多岐にわたり、いずれもカラフルでコミカルなポートレートと大胆なグラフィックシンボル上に複雑なタイポグラフィが層をなし、修正液を用いて表現されています。
一連の作品「Frost」は、アフリカのマスクのようなイメージに走り書きされた言葉、そして鮮やかな色を特徴とする複雑な背景にレースのような白の抽象的なパターンを重ね、マントラや身振り手振りで祈りを捧げる者を想像させるスピリチュアルな構成となっています。スケートシーンやヒップホップシーンとも密接に関係したフロストの作品は、スタジオミュージシャンのアルバムジャケットに採用され、またストリートファッションブランドHUFとのコラボでアパレルグッズを制作するなど、現在もニューヨークを拠点に活動を続けています。
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https://philfrost.com/