ブラッシャイは1899年にオーストリア＝ハンガリー帝国（現在のルーマニア）で生まれた写真家です。ブタペストのアカデミーで絵画と彫刻を学び、1920年にベルリンへ渡ると、ファインアートを学びながらジャーナリストとして働き始め、4年後にパリに拠点を移します。パリではフォトジャーナリストとしての活躍を開始するとともに夜のパリを歩き回り、娼婦や恋人たちなどそこで出会う人々を撮影した作品を多く残しています。暗い場所の撮影には当時発明されたばかりの閃光電球を用い、光の当て方や場所など工夫を凝らして発光させることによってドラマティックな作品作りを成功させました。

有名人との交流も深く、パブロ・ピカソ、アンリ・マティス、ジャン・コクトーらに加え、当時留学中だった岡本太郎とも親交があったと言います。ブラッシャイの作品を気に入った岡本は、日本へ帰国後自ら出版社を回り、写真集「未知のパリ・深夜のパリ」の出版に漕ぎつけました。パリの夜を収めた写真は撮影されて80年以上が経ちますが、今見ても全く色褪せず興味の尽きない作品となっています。