ヴェルナー・ビュットナーは1954年、ドイツのイエナに生まれたアーティストです。ベルリンの壁ができる直前に両親とともにミュンヘンに移住。1974年にはベルリンで法律を学ぶ傍ら、アルベルト・ウールンとともに『Liga zur Bekämpfung des widersprüchlichen Verhaltens（矛盾した行動を撲滅するリーグ』を設立し、創作活動を始めます。ビュットナーのキャンバスやコラージュには、絵画の歴史をしっかりと踏まえた上で社会的な規範を皮肉と風刺の両方で表現するものであり、ウールンだけでなくマルティン・キッペンベルガーもその堂々とした哲学に突き動かされ、1970年代後半にはベルリンで『バッド・ペインティング』と呼ばれるムーブメントを巻き起こします。

彼らのその破壊的な資格言語は、テクニックやテイストなど絵画的な慣習を排除し、メディアを再発明するような反抗的な美学を追求するものでした。ビュットナーの作品は静物、ヌード、風景画、自画像など伝統的な題材に基づいていますが、グレーやブラウンなどの濁った色調で、絵具の扱いも意図的にぞんざいに描かれています。この乱雑さは、絵具の豊かな層と重厚感と相まって、1970年代のドイツの政治を覆っていた暴力的な部分と、冷戦の暗い雰囲気に対する視点を反映しています。

コンセプチュアリズムの知的理想主義や活動主義に真っ向から対立していながらも、ビュットナーと『バッド・ペインティング』は1980年代のドイツの関心事を代表するものでした。最終的にビュットナーは自分自身、そして急速に変化する国と急速に進化する世界の中で、現在も「自身は戦後のドイツ人アーティストである」という永遠のテーマに取り組んでいます。