荻須高徳
Takanori Ogisu
1901年-1986年
荻須高徳は愛知県生まれの画家です。
1921年、上京し川端画学校にて藤島武二の指導を受けました。1922年東京美術学校(現・東京藝術大学)西洋画科に入学。1927年に卒業し、同年9月にフランスに渡りました。1940年第二次世界大戦勃発により帰国しますが、1948年に戦後初めて日本人画家としてフランス滞在を許可され、8年ぶりに再びパリへ渡ります。
26歳で初めてパリに渡り「フランスに来て一番驚いたのは石だ」「家が私にまるで生きているかのように話しかけてくる」と語った荻須の言葉には、きらきらとした好奇心と感動が滲み出ています。長い歴史が深く染み込んだ味わい深い石造りの道や建物が立ち並ぶパリの街並み。名も無い食料品店の店先や 無造作に貼り重ねられた街角の広告、何気ない路地裏の風景など 荻須の絵の中に人の姿はほとんど登場しませんが、その中には 荻須自身のパリへの愛と、その街に愛情を持って暮らす多くの人々の息づかいが感じられます。
愛するパリを生涯描き続け、晩年には日本で初のサロン・ド・メ (Salon de Mai)の開催(1951年)や松方コレクションの日本への返還に尽力し、日本とフランスの文化交流に努めました。そして1956年にはフランス政府からシュヴァリエ・ド・レジオン・ドヌール勲章、1981年には文化功労者に、1986年には文化勲章を授与されました。