社長は出張で飛び回っているので、今回はキュリオスタッフからコラムをお届けしたいと思います。
アート作品を、時にはこんな観点で捉えてみるのも一興かも、というお話です。
アート業界では、アート作品を取り扱うにあたって、その状態の良し悪し(作品の良し悪しではなく、あくまで状態の良し悪し)を専門家に見てもらい、報告書(コンディションレポート)を出してもらう、ということがあるんですね。
※画像はイメージです。
絵画作品のコンディションレポートには、例えばこんな風に書かれています。
「支持体、地塗り層、絵具層は安定していて良好な状態である。紫外線観察で補彩は認められない。右下と左下の角部に肉眼では確認できないほど非常に微細な欠損がある」
はて、支持体とは何でしょうか?一般的にはあまり耳慣れない言葉ですね。
Wikipediaによると…
- 支持体(しじたい)(英語:Support)
支持体とは、絵画の塗膜を支える面を構成する物質である。本来は塗装の用語であり、これは絵画が塗装の特殊な一形態であることを物語っている。地塗りを施す場合もあれば、地塗りを施さない場合もある。
出典:Wikipedia
ここで、では絵画とは何ぞや?と改めてその定義を探ってみると、
- 絵画
「絵画」の辞書的な定義は、“なんらかの支持体の上に顔料を定着させた二次元の視覚芸術”とのこと。
つまり、
紙など(支持体)の上に水彩絵具(顔料+溶剤,固着剤)を定着させたものが水彩画
キャンバスなど(支持体)の上にアクリル絵具(顔料+溶剤,固着剤)を定着させたものがアクリル画、ということですね。
定着させる、というのも日ごろあまり意識しないのではないのでしょうか?しかし、ガラスに水彩絵具を塗っても弾かれてしまってうまく描けませんね。顔料とは、そもそも鉱物由来の粉末なので塗るためには、何らかの溶剤が必要ですし、定着させるためには固着剤が必要です。そして、支持体によっても適した固着剤があるのですね。
ところで、耐久性もあり優れた支持体であるキャンバスが発明されたのは中世になってから。それ以前は、建物の壁に直接描く「壁画」か、または持ち運べるように木の板に描いた「板絵」か、どちらかでした。
壁や木の板が支持体だった頃、顔料をどのように溶いて定着させていたかについては、また機会があればご紹介したいと思います。
アート作品をこういった視点で見てみるのも面白いですよということで、話題にしてみました。
新しい支持体、新しい顔料、新しい固着剤が現れて、これまでにない革新的な絵画がまた生まれてくるかもしれない、そんな想像をするのも楽しい時間です。
身近なところでは、ガラスや鏡といったツルツルした面にもくっきり描けるクレヨンが発売されて話題になっていましたね。
キュリオオフィスでも遊んでみましたよ♪