解説 エル・ジャポン 2020年5月号
ー WOMAN in ART アートの境界を広げる女性たちー
エル・ジャポン 2020年5月号で「WOMAN in ART アートの境界を広げる女性たち」という記事で、5人の女性アーティストを紹介しています。
彼女たちを私なりの視点で解説していきたいと思います。
※記事の内容については、「エル・ジャポン 2020年5月号」をご覧ください。
■ チャバララ・セルフ Tschabalala Self
チャバララ・セルフは、もうかなり前から、インスタグラムをフォローしていたアーティストです。なぜ彼女をフォローしていたかというと、彼女の作品のマテリアルのメインが、“布”であるためです。“布”というマテリアルは、以前から、コラージュで使われることはありましたが、“布”をメインマテリアルとして仕様する作家は、今まで、見たことがありませんでした。
チャバララ・セルフよりも早く、“布”をメインマテリアルとして、作品制作している女性作家を数人知っていて、そもそも“布”というマテリアルの存在が、現代アート界において、どんな評価を受けていくのか、未知数だったので、その評価を現在進行形で追いかけています。
さて、チャバララ・セルフはというと、2019年から、大手オークションハウスの取り扱いが始まっていますので、セカンダリー・マーケットも認めてきているということでしょう。
彼女の作品は、“布”を油彩やアクリル絵具の上にコラージュさせることで、とても良いバランスを保っています。布だけで制作された作品だと、どうしても、裁縫の延長線上から抜け出ることができない印象を受けます。そこを油彩・アクリル絵具とコンビネーションによって解消し、独自の位置を見出したと言えるでしょう。
Christie’s London (2019/10/04開催)で、「Sapphire」という作品で、彼女のオークションレコードGBP 395,250(およそ5250万円)を記録しています。新人作家としては、異例の高額落札といえるでしょう。
チャバララ・セルフ、そして“布”をメインマテリアルとして使うアーティストにとって朗報ですし、マーケットを牽引していく存在となりそうです。(渡木章浩)
チャバララ・セルフのインスタグラム⇩
https://www.instagram.com/tschabalalaself/
エル・ジャポン 2020年5月号⇩